アンケート回答率が10倍に。コミュニケーションロボットでアンケートを実施した公園・フェアでの活用事例

2023/8 インタビュー・イベントレポート

[お話を伺った方]
エコルシステム 情報システム部
原田朋彦様、平田志保香様

– 取り組んでいる事業について教えてください

エコルシステムの主な事業は、公園管理業務の効率化を進めるオリジナルソフトウェア開発、公園運営に対するITコンサルティング、PC保守などのITインフラ業務で、造園会社に特化したIT支援を行っています。近年の取り組みとしてはせんだい農業園芸センターみどりの杜のITコンサルティングを担当しています。せんだい農業園芸センターはグループ会社である日比谷アメニス・日比谷花壇共同事業体が運営しており、日比谷アメニスが園地管理、レストラン運営、物品販売、貸し農園等を、日比谷花壇が広報業務を行っています。またセンターで利用するIT面の新規企画は同グループのエコルシステムを交えて提案しています。

1番大きな取り組みは、AIカメラによる来園者の属性分析です。せんだい農業園芸センターの入口や花壇の周りなど人のよく集まるところにカメラを設置して、来場者の性別や、何人ぐらいの人がどの時間帯に来ているのかといったことを調べます。その結果を元に売り上げを伸ばすための運営に活かしています。AIカメラを設置したことによって、これまで具体的に把握できなかった見頃の花ごとの来園者層の違いが分かり、それに合わせたターゲット層に購入していただける商品を中心に入れていこうといった話ができるようになりました。

– 取り組みにおいてどんな課題がありましたか?

せんだい農業園芸センターに限らず他の公園の取り組みでもあることで、実施したイベントの満足度は紙のアンケートで取ることが中心になっていますが、回答者が偏ってしまったり、そもそも回収率が悪いという課題があります。

何かいい方法はないかと検討する中で、別施設で来園者向けにロボットでクイズ等のレクチャーや園内の広報を行う取り組みをしており、そこからヒントを得てロボットでアンケートを取ることはできないかと考えました。ですが、このロボットはタッチパネルや対話形式が主な機能であり、手軽なアンケート回収にはやや適していませんでした。そこで、レクチャー・園内広報は既存のロボットで運用を行いつつ、役割分担としてよりアンケートに適したロボットはいないかと探していた時に、ユカイ工学のコミュニケーションロボット「BOCCO emo」を知って導入することにしました。

– BOCCO emoを導入する決め手はなんでしたか?

単純な選択ボタン式のアンケートができるロボットというのが、知る限りではあまりなかったんです。また、すでに事例としてアンケート調査に導入されていた実績があったので、安心感がありました。

ロボットでアンケートを取るにあたっては、これまで拾えていなかったお子さんの声を拾いたいという思いもありました。BOCCO emoのフォルム、見た目や仕草の可愛らしさといったものが、他のロボットと比較した時にお子さんにも受け入れられやすくてすぐに触ってもらえるかなと感じたのも、1つの大きな決め手になったかなと思っています。

 

– 実際にどのようにBOCCO emoを設置したのでしょうか?

第40回全国都市緑化仙台フェアを実施した際、せんだい農業園芸センター内にある管理研修棟という休憩スペースがある場所の1FにBOCCO emoを設置しました。

今回アンケートの設問は1つで、回答方法は2通り用意しました。1つ目はボタンとBOCCO emoを連携させて、回答するというものです。「仙台市から来たのか、仙台市以外から来たのか」の2つの選択肢のボタンを置いておいて、押してもらって集計という形ですね。2つ目は、BOCCO emoの録音機能を使って回答してもらうというものです。BOCCO emoのお腹のボタンを押してもらって、自由にしゃべって回答していただきました。

公園での設置した様子
公園での設置した様子

 

これらの用意に2週間もかかっていないくらいです。BOCCO emoに人が近づいたら何をしゃべるかという設定と、専用のボタンセンサが押されたらBOCCO emoが何をしゃべるかという設定のみ私たちで行なった形です。元々ユカイ工学側でBOCCO emoとボタンセンサが用意されていたので、アプリから会話の設定をするだけだったのはよかったですね。

 

– 設置してみての反応はいかがでしたか?

フェア開催初日から1ヶ月程くらいまでのデータでは、ボタンの回答数としては2,278件、音声での回答は366件ありました。来園者に対して10%の方が回答してくださっていることになります。これは嬉しい驚きでした。録音されていた声はほとんどがお子さんで、どこから来たかという返答以外に「お花がいっぱいあってきれいでした」や「恐竜の藁アートが面白かった」といったご意見に加えて、「BOCCOちゃん、また会おうね」といった可愛らしいご感想がいっぱいいただけました。紙のアンケートは大体1%くらいなので、それと比べると回収率は高いです。

せんだい農業園芸センターはバラを推しているのでバラに対する感想はもちろん多くあったのですが、新しく植えたネモフィラに対してもいいご意見をいただけていたのは運営の参考になりました。公園によってケースバイケースになりますが、紙のアンケートですと60〜70代の方からの回答が集中する印象ですから、紙で普段聞けないお子さんの反応を得られたのは大きかったと感じています。

あと紙のアンケートですと自分たちでデータを集計しなければいけませんが、今回は結果がすぐにGoogleスプレッドシートに反映されるようにしてリアルタイムに確認できるようにできたのも、とても楽でした。

リアルタイムに数値を取得し、反応を確認できた
リアルタイムに数値を取得し、反応を確認できた

 

– 今後の展望など教えてください

コミュニケーションロボットを置くことで、お子さんに愛されて、自ら楽しんでアンケートに答えてくれるというのは大きな発見でした。また予想以上の回答数を得られたことも大きな収穫でした。

今回はアンケート回答後に「ありがとう、楽しんでね」といった返事をBOCCO emoがするように設定していたのですが、次回は「他にもどんな催しがあるよ」といった案内に繋げられるような新たな広報手段としても活用していきたいと考えています。

また回答の選択肢も2つだけでなく、ボタンを3つ4つと増やすことで、例えば満足度のようなものを取ったりだとか、複数設問を用意してランダムで回答してもらうといったことができるようになればと思います。

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