[お話を伺った方]
どんぐりピット合同会社
CEO 鶴田彩乃様
– どのような事業に取り組まれていますか?
シェア冷蔵庫「mini-ichi」という地域のお店の商品を冷蔵庫で預かり、そこで販売するサービスを展開しています。フードロスといったところが社会問題になっていて、そこを解決する1つの手段として、地産の地消を促進するために、そういった事業が必要なのではと考えました。
実は会社を運営しているメンバーは本業の大手自動車メーカーの同僚で、この事業を兼業という形で行っています。元々会社内で新規事業開発の企画研修アイディアとして出た事業でした。ただ、本業の会社の方針などを踏まえると社内で事業化するのは難しく、ちょうど2020年に副業が解禁されたので、それならば起業してしまおうとアイディアを出したメンバーと一緒にどんぐりピットを立ち上げました。
– 起業後にどんな進め方をされたんですか?
起業後は顧客検証と、プロトタイプの冷蔵庫の仕組みの開発を行っていました。冷蔵庫の開発と売買サービスのシステム部分の検証を繰り返して半年に1回ぐらいはアップデートし、2021年秋には無人売買の仕組みはある程度できていました。私たちの本拠地である愛知県はスタートアップを応援する取り組みがしっかりしていたので、自治体の方に相談したところ、実証実験する場を早々に紹介して頂き、実際のお客様の反応をみながらサービスを作り上げていくことができたと思います。これまでに県内5ヶ所くらいに設置させていただきました。
– 事業を進める上での課題感は?
愛知での検証を経て、神奈川県の補助事業「ビジネスアクセラレーターかながわ(BAK)」の取り組みを通じて江ノ島電鉄株式会社と共に実証実験をすることが決まりました。ここから量産を踏まえた設計や見た目についても改善を図っていきたいと考えていたのですが、冷蔵庫とシステム部分の電子部品を組み合わせたプロダクトを作れるアテがありませんでした。これまではトヨタで関わっている板金であったりハード面を製造してくれる会社にお願いすることもあったのですが、そこに電子部品とソフトといったサービスの要素を入れ込むとなるとなかなか難しく、対応する時間も限られていました。
ロボット工学的な要素も必要になるなと考えていた中で、イベントを通して知り合ったユカイ工学に依頼したいと考えたんです。
– なぜユカイ工学に依頼したのでしょうか?
元々本業の方でもお仕事で繋がりがあったことと、ユカイ工学が出しているプロダクトの見た目、ですね。なかなかハードエンジニアだけだとそういった意匠面にこだわって対応できるところがないので、そういった部分に惹かれたところがありますね。
これまで我々はデザインにこだわらず最低機能が動くようにという点に注力してきていたので、愛知県で実証実験に使っていたものの見た目は本当にシンプルなものでした。ただ江ノ電の駅に置かせてもらうことになり多くの人の目に触れることになると、サービスとしての安心感を高める上でもきちんとした意匠になっているというのは重要だと考えました。
– ユカイ工学と開発を進めてどうでしたか?
仕上げていただいた冷蔵庫のデザインは江ノ電の担当者からも、お客様からもとても好評を得ています。2022年の9月にBAKに採択されて、2023年1月には実証実験が始まるスケジュールだったので実質3ヶ月でゼロからデザインを考えて形にしなければならない状態と、そもそもすごい短納期でのお願いだったにも関わらず、我々の想定以上のプロダクトができたことに、とても満足しています。デザイン案の段階で江ノ電の担当者には共有していたのですが、実際のプロダクトが数ヶ月で出来てきたことでとても感動してくださっていて、その時の様子を社内でも今もよく話題にしています(笑)
冷蔵庫設置後も後追いでちょっとずつアップデートしていったりもしていて、看板をつけたらお客様の目が向いたりと「見た目」がものすごく重要なのだというのは顕著に実感しています。冷蔵庫の設置にユカイ工学のエンジニアの方々に来ていただいたんですが、設置場所が平らではなかったりと条件が場所によって異なるので夜までかけて対応いただいてとても助かりました。
– これから挑戦していきたいことは?
まずは江ノ電での実証実験を通してサービスとしての課題を洗い出して、システムアップデートを繰り返していきたいです。実証実験だけで終わるのではなく、そのあとはきちんと事業として江ノ電の各駅で展開していくことを想定しています。また新しい冷蔵庫を用いた愛知県での実証実験も決まっていますので、場所と数を増やしながらサービスの質を高めていきたいです。今度は駅以外の場所にも置けるように調整していければなと思います。
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