参加者の6割が継続利用した新しい買い物体験とは? ~BOCCO emoが地元小売店・民間企業を繋ぎ、高齢者に優しい経済圏構築に挑戦~

2024/8 インタビュー・イベントレポート

[お話を伺った方]

広島県福山市企画財政局 企画政策部 デジタル化推進課(当時):西川様(2024/4~ご異動)
セコム株式会社 セコム暮らしのパートナー久我山:牛島様

全国各地で高齢化による買い物困難者が増加しており、特に車社会の地域では高齢者の免許返納などにより外出手段が限定的になってしまいます。一方でスーパー側は配送サービスを整備していますが、スマホやPCでの注文が一般化しているため、高齢者には利用ハードルが高く、利用者がなかなか増えない現状があります。
今回、広島県福山市で行った実証実験では、BOCCO emoと高齢者、地元スーパーを繋ぎ、在宅の高齢者が買い物しやすい環境を提案しました。
また今回は、BOCCO emoを活用した高齢者との対話サービス「あのね」を提供しているセコム株式会社との共同実証実験により、高齢者の買い物の支援に加え、コミュニケーターとの対話による孤独の解消にも挑戦しました。

ユカイ工学支援概要ページ

 

– 本件は2023年度のふくやま実験クエストで採択していただきました。BOCCO emoに期待いただいたこと、不安だったことは何でしたか。

西川様:
実は、コミュニケーションロボットを活用した提案を受けたのは初めてでした。まずは可愛らしい見た目に興味がわき、ユカイ工学さんのHPや、BOCCO emo/あのねのブランドサイトや動画などを拝見しました。

高齢者は年を重ねるごとに、電話番号を押すのも難しくなってしまいますし、家にこもりがちになってしまいます。そんな高齢者に寄り添うかのように、BOCCO emoのボタンを押すだけの操作で、毎日コミュニケーターさんとお話しができたり、自分の欲しいものを伝えるとスーパーで買い物ができたりと、とても魅力的に感じました。
一方で、あまり新しいものを好んで使わない傾向にある高齢者に、ロボットが受け入れられるのか、参加モニターが集まるのかと不安もありました。

牛島様:
これは、当社でBOCCO emoのサービス「あのね」を紹介するときにも同様の悩みがあります。ご年齢が70~90代と幅広い層に紹介しますので、実際に興味を持っていただいたお客様には、1~2週間程度、実際のサービスを体験いただく機会を設けます。やはり「自分でもできる」「簡単に使える」と思っていただくことが大切ですね。

西川様:
実際にモニター募集をする際には、丁寧に説明する必要があるなと思って臨みました。モニター向けの説明書は、文字だらけにしないよう工夫しましたね。また、私たち行政担当者から参加を募るのではなく、地域の民生委員や顔役に協力いただきながら「顔見知りの人から紹介を受ける」ように行ったのが大きかったように思います。

説明会の様子

 

– どのような座組で行ったのでしょうか。また、これまで高齢者の買い物支援を解決できなかった理由も教えてください。

西川様:
今回はBOCO emo/あのねを使った高齢者の孤独解消と、買い物のサポートの2つの目的がありました。孤独の解消ではBOCCO emoを通じてセコム様のコミュニケーターとおしゃべりを楽しむ他に、薬の飲み忘れや予定のリマインドをしてくれます。
買い物サポートでは、地元スーパーと高齢者モニターを繋ぎ宅内に設置されたBOCCO emoに「2kgのお米と、納豆1パック、卵1パックが欲しい」と話しかけて注文すると、セコム様のコミュニケーターが注文を取りまとめ、スーパーに依頼する仕組みとしました。

福山市では、ボランティアスタッフによる買い物・移動支援を実施していますが、実は、ボランティアスタッフの確保が難しい課題があります。一方で多くのスーパーなどの宅配サービスでは、注文時にネットや注文用紙へ記載しなければいけないので、高齢者目線では注文のハードルが上がってしまいます。
その点、今回の実証実験のやり方では、モニターが思いついたその時に注文できるので便利だと感じました。

 

– 実証実験の結果を受けて、反響はいかがでしたか。

牛島様:
実証実験は、10世帯の70歳以上の高齢者に3カ月間協力していただきました。会話体験は1日平均2.8回、買い物体験では一番多く利用した方で120品目以上をBOCCO emoを通じて注文いただきました。総菜やお弁当の注文が多くなると予想しておりましたが、野菜や肉類の注文が多く、思いのほか自炊をしている人が多いことが伺えました。

会話体験では「静かな家の中で、話しかけてくれる声が聞けて嬉しい、帰宅後の挨拶が嬉しく帰ったら何を話そうかという楽しみがあった」、買い物体験では「免許を返納していたことや、時間帯を気にせず思いついたときに注文できる」など、嬉しいコメントを多くいただきました。

西川様:
多くの方が買い物体験を利用してくださった結果、BOCCO emo/あのねとスーパーの間に新しい市場をつくることができました。今回は市の支援の他、実施企業とモニターが費用を負担した実証実験でした。

またNHKでの放送をはじめ、複数のメディアにも掲載され、注目度の高い取り組みであったことを感じています。福山市でも独居高齢者や、高齢者のみで暮らす世帯が増加しています。見守りの視点でも、BOCCO emo/あのねが高齢者の利便性向上の一助になればと思います。

HNK広島での放送の様子
https://www3.nhk.or.jp/hiroshima-news/20231120/4000024250.html

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