さんぽタッチ

日本特殊陶業株式会社|声と写真を届けることで「さんぽ」の楽しみを贈るサービス

「さんぽタッチ」は、子・孫家族から離れて暮らす祖父母へ、専用のタッチパッドとアプリを通じて声と写真を届けることで「さんぽ」の楽しみを贈るサービスです。

さんぽ開始時には祖父母がスマートフォンをタッチパッドにかざすと、アプリに登録したお孫さんからの「いってらっしゃい」という応援が届きます。さんぽ終了時には、再びスマートフォンをタッチパッドにかざすことで、お孫さんからの「おかえり」の声と写真・動画が届きます。子・孫家族には「さんぽ」の開始時と終了時に通知が届き、祖父母の日々の活動をさりげなく見守ることができます。

さんぽタッチは日本特殊陶業株式会社のサービスで、ユカイ工学は要件定義、プロトタイプの制作、ビジネス化検討、ロゴマークデザインを担当しました。

サービスサイト:https://sampo-touch.jp/


日本特殊陶業株式会社 × ユカイ工学株式会社 開発事例紹介

[お話を伺った方]
日本特殊陶業株式会社 ビジネスクリエーションカンパニー メディカルビジネス部
Link & Ignite課 課長 泉谷周生 様 インタビュー
 

toB企業のtoC新規事業挑戦、ビジネス展開を実現したのは人間中心設計を意識したプロトタイプ開発

– どのような事業に取り組まれていますか?

日本特殊陶業株式会社は1936年創立の、スパークプラグやセンサといった自動車部品、医療、環境分野で製品を展開する総合セラミックスメーカーです。現在、海外売上比率が8割を超え、ソリューション事業も手掛け始めています。私は新規事業開発の専門組織であるビジネスクリエーションカンパニーに所属しています。長期経営計画では、新規事業の注力分野として環境エネルギー、モビリティー、医療、情報通信の4つの分野を掲げていますが、現在所属する課は、今年7月にリリースした「さんぽタッチ」をはじめ、ウェルネス関連の製品・サービス開発に取り組んでいます。

 

ー その「さんぽタッチ」ができたきっかけは?
我々のカンパニーが重視しているのは人間中心設計。安く早くプロトタイプで検証するなどの手法が開発スタイルとして浸透しています。今回のアイデアは、この人間中心設計を取り入れた、数名のチームの探索活動から生まれたものです。

酸素濃縮器の提供開始以来 20年以上ホームケアに携わる企業として、ご家庭での健康的な暮らしを後押しできないか模索していました。チームリーダーとして大事にしたのは「質の高い問いを探すこと」です。社会課題や市場トレンドだけでなく、日常観察からの気づきを収拾して検討しました。歩くことに着目したのは、健康増進に有効で、関連サービスが数多くあるにもかかわらず、2010年代日本人の歩数が伸びていないことを知ったのがきっかけです。これまでにないアプローチが必要と感じました。結果、「どうすれば我々は中高年の方々に、自分から進んで歩くことを促せるだろう」という問いを立て、練り上げていきました。

2020年秋から、課題やソリューションの仮説に関し、ストーリーボードや簡易プロトタイプなどを用いたヒアリング・テストを重ねてその都度修正。目指す方向性が掴めてきた2021年春、ユカイ工学さんに支援を依頼しました。約3ヶ月で一緒に要件定義をかため、21年8月に社内の最終審査を経て事業として立ち上げる決定に至りました。

 

ー 「さんぽタッチ」はどんなサービスですか?

子世代と離れて暮らしている中高年の方々に散歩の楽しさを提供するサービスです。

散歩に出る時と帰ってきた時、専用のタッチパッドにスマホをタッチすることで、お孫さんの声と写真がスマホアプリを通して届く仕組みになっています。一方で、離れて暮らす子世代のご家族にも散歩の開始・終了時に通知が届くようになっていて、穏やかな見守りサービスとしても活用いただけます。テストでは、写真をきっかけにコミュニケーションが増えた、なかなか運動しなかった親御さんがさんぽを始めた、という声も伺っています。

 

ー ユカイ工学に要件定義を依頼した理由は?

従来、我々の多くの事業では、法人様のご要望をもとに製品を提供しています。一般消費者の方にサービスをゼロから企画し提供した経験がない中、「人と人との温かいつながり」をどう表現するか、という課題を抱えていました。我々にない知見を持ち、それを具現化されているユカイ工学さんに相談したいと考えました。QooboやBOCCOなどのプロダクトからにじみでる温かさは他にはなく、デジタルとアナログをうまく融合されていると感じます。

 

ー プロジェクトの中で印象に残っていることは?

アプリの画面イメージや、タッチパッドの意匠・メカ設計に加えて全体のコンセプトを想起させられるロゴマークも考えていただいたことです。当初は「ブランド作り」という意識が薄かったのですが、今後一般向けにサービス提供していくにあたりロゴがあった方がいいよね、と提案いただきました。このサービスで提供したい価値は何か?という議論や、当方の要望を踏まえ、家族とつながる窓のモチーフや、何か新しいことが始まる春の季節感をうまく形にしていただきました。タッチパッドについては、実証実験する中で意匠に多少変更があったものの、ユカイ工学さんと固めたコンセプトを踏襲したものになっています。

また、いかにお孫さんに楽しんで写真を記録して頂くかをサービスに取り込むため、5歳児になり切り、写真を撮影するワークショップを開いたのは非常に刺激的でした。ユカイ工学の方々は「メソッドにこだわらない」と仰っていますが、自然な振る舞いの中でお客様に寄り添い、商品開発されるマインドセットやプロセスをお持ちだと思います。その点を今回体感させていただいてよかったと感じています。

 

ー これから挑戦していきたいことは?

サービス事業ですので、リリースして終わりではなく、これからがスタートです。お客様の声をしっかりサービスに反映させ日々向上させていきたいです。まずは、近くAndroid版をリリースできるよう準備中です。散歩をきっかけにして離れたご家族との繋がりを確かめ合い、暮らしを豊かにして頂く後押しができるよう、さらなるサービス展開をしていく予定です。

 

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