高齢化が進む大阪市森之宮で、防災・見守りサービスの実証実験にコミュニケーションロボット「BOCCO」を活用 セコム・森之宮病院・ユカイ工学が協力

2022/6/9 ニュース

高齢化率、独居率が高く、地域内の接点が減少している森之宮地域で、スマホ弱者の架け橋にコミュニケーションロボットを活用。気象・防災情報発信や日常の買い物をサポート

「ロボティクスで、世界をユカイに。」を掲げ、数多くのコミュニケーションロボットやIoTプロダクトを企画・開発するユカイ工学株式会社(本社:東京都新宿区、代表:青木 俊介)は、大阪スマートシティパートナーズフォーラム(※)の補助事業として、社会医療法人大道会・森之宮病院(所在地:大阪市城東区、病院長:大道 道大)の協力の元、セコム株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:尾関 一郎)と、大阪府大阪市城東区森之宮地域の高齢化における課題に対して、ICTを活用した防災・見守りサービスの実証実験を行いました。

具体的には、高齢者宅内に設置したコミュニケーションロボット「BOCCO」(ボッコ)を介して気象・防災情報や、森之宮病院からの健康や医療に関する情報を含め、セコムのオペレーターからの情報提供や健康状況などの確認です。また、近隣のコンビニエンスストアで日用品の注文や配達などの買い物補助のサービスを行いました。(詳細は後述参照)

今後もセコムや自治体と連携し、見守りの行き届いていない地域や課題に対して、住み慣れた地域で安心して生活できるよう、社会的弱者へのソフト面、ハード面の両側面からサポートを展開して参ります。

(※)大阪府、府内43市町村、企業、大学、シビックテックなどで構成する「大阪スマートシティパートナーズフォーラム」では、地域課題を抱える市町村と企業・団体が共同してソリューションやサービスの実証・実装を進め、課題解決につなげる取組を推進しています。 https://smartcity-partners.osaka/

実施背景

森之宮地域(大阪府大阪市城東区森之宮)は、区内でも高齢者が32.6%と多く、独居率が47.7%に上り、毎年数名の孤独死が発生しています。※

地域の高齢化に加え、コロナ禍の影響も受け、近年は以前よりも住民間の接点も減っており、大規模な災害が発生した場合の避難誘導にも課題を抱えています。本課題に対し、各個人へ効率的にサポートをするため、ICTを活用した防災・見守りサービスを検討するも、スマートフォンの利用率が40%未満のため、特に高齢者(特に80代以上)への展開が困難な状況にあり、タブレットなどのデジタルインターフェイス以外のツールを模索していました。

※大阪府大阪市城東区地域別高齢者数データ(65歳以上)【平成29年4月~平成30年3月】

 

実施内容

主に独居高齢者を対象に、コミュニケーションロボット「BOCCO」を活用し、気象・防災情報の発信やセコムからの情報提供を行いました。また、健康状況についてロボット経由でヒアリングを行いました。
実施後の結果として以前よりも情報伝達の量が増えたか、防災の意識が高まったか、誰かとつながっている感覚が増えたかをアンケートで取得しました。

宅内のBOCCO

買い物補助サービス

「お水1ケースと納豆2パックがほしい」など、欲しい商品を宅内のBOCCOに話しかけて注文すると、セコムが注文をとりまとめて、店内のBOCCOから店舗店員に伝えます。また、店内のタブレットでも注文内容を確認することもできます。注文内容を店員が確認後、受領確認と会計内容をBOCCOにメッセージを送信します。その後、自宅まで配達する仕組みです。

※なお、今回の実験では、モニターがBOCCOを通じ店舗より事前にセール情報等を得て、商品購入に来店されました。

 

実証実験概要

実施日程:2021年12月〜2022年3月31日
モニターの年齢:70代男性2名、80代女性1名(計3名)
※うち、買い物補助サービスについては、80 代女性1 名のみモニター参加した。
場所:大阪府大阪市城東区森之宮

 

実証結果

下記の効果が確認された。5段階評価(5が高、1が低)

アンケート結果
◯ 孤独軽減や安心感の増加への貢献:3.67点
◯ 防災、地域の情報伝達の改善:3.67点

定性評価
・ロボットを通じた対話に対し「話し相手ができて楽しかった」と回答
・モニターの1名からは、オリジナルキャラクターを記載した手紙を受領するなど、総じて満足度は高かった。

その他
コロナ禍の影響でモニター数が少なかったこと、自身で買い物に行けるモニターであったため、買い物体験利用の所感が得られなかったが、買い物が困難な状況にある高齢者などの潜在利用希望者に向け、今後もサービスを展開していきたい。

 

今後の展望

生活者に寄り添う情報発信や個別のサービス、また買い物弱者に対するサポートを含め、今後も地域課題の解決に向けてモニターを継続して参ります。

 

各協力組織からの本実証実験に関するコメントと概要

(敬称略・順不同)

セコム

BOCCOを通じて気象・防災・行政や健康に関する情報等の配信を行う中で、とくに防災・行政情報に対して積極的な返答があり、ご高齢者の関心の高さが伺えました。また、コンビニエンスストアのおすすめ商品やキャンペーン情報などの配信を行うことで、ご高齢者の買物需要を引き出す手ごたえも感じております。BOCCOは、ご高齢になっても使えるICTツールとして、日常のつながりやコミュニケーション以外にも、様々な可能性を秘めております。今後もBOCCOの活用可能性に関する検証を重ね、ユカイ工学様と共に、社会課題の解決に取り組んで参ります。

セコム様企業概要
セコムは、1962年に日本で初めての警備保障会社として創業。1966年には日本初の企業向けのオンライン・セキュリティシステム、そして1981年には家庭向けにホームセキュリティシステムを開発するなど、時代に先駆けたサービスを創出しています。2015年4月、超高齢社会の課題解決を目的に「セコム暮らしのパートナー久我山」を開設。ご高齢者やその家族のニーズ把握、新サービス創造に努めており、2017年10月からは、ご高齢者の孤独の解消、QOL(クオリティ・オブ・ライフ)向上を目的に、BOCCOを通じて“定期的な挨拶”や“状況に合わせた声かけ”を行う「コミュニケーションサービス」を試験的に開始しております。

公式サイト:https://www.secom.co.jp/

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社会医療法人大道会森之宮病院

利用した高齢独居男性は「話し相手が増えてさみしさを紛らわせることができた」、「地域の情報をお知らせしてくれたことで、外の様子が解り地域と近づけた気がした」と意見され、BOCCOの利用は「孤立感の軽減」につながると考えます。軽度の認知症高齢者の利用時は、概念の理解やボタン操作も難しく双方向の会話はできませんでしたが、一方向のお知らせ機能により服薬忘れや曜日の確認などができ、精神的な安定につながる効果を確認できました。「お腹が痛い」「吐き気がする」などの体調不良のお話への対応は今後の検討課題だと感じます。BOCCOは話し相手か、医療機関とつながる体調管理ツールか…運用次第で様々な可能性が考えられます。医療機関が本運用チームに関わる際は、上記を踏まえた留意点の申し合わせが必要だと感じます。

社会医療法人大道会森之宮病院様概要

当院は森之宮地域に位置し、救急治療・リハビリテーションを提供しています。また同法人は森之宮団地1階に健康ステーションまなぶを設置し、訪問看護やリハビリテーションの提供によりご自宅での健康をサポートするほか、福祉用具を活用した住環境の提案やケアプランの相談も行っています。法人内の多職種が様々な関係機関と力を合わせ、住民の皆さんが住み慣れたまちで最期まで暮らすことができるよう健康支援・生活支援に努めています。

公式サイト:https://www.omichikai.or.jp/morinomiya_h/

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BOCCO 概要

コミュニケーションロボット「BOCCO」は、家族間のコミュニケーションを助けるロボットです。留守番中の子どもや離れて暮らす高齢の家族を見守ることができます。インターネット経由でスマホと音声メッセージのやりとりができ、「BOCCO」側から送った声の文字化、スマホから送った文字メッセージの「BOCCO」による読み上げができます。さらに、宅内に設置されたセンサの情報とBOCCOが連動し、外出先からドアや鍵の開閉、部屋の温湿度や照度をスマホに通知することができます。これにより、家族の様子を外出中でも知ることができ、忙しい毎日の中でも家族との何気ないコミュニケーションを楽しむことができます。

次世代ファミリーロボットのBOCCO emoは、BOCCOの基本機能に加え、ハンズフリー対話、人が近くにいるかのセンシングも可能です。専用のBOCCO emoアプリでは、家族内でのメッセージのやりとりや、センサーの反応を確認することができます。また、APIによるシステム連携で様々なサービスと連動し、生活者に寄り添った取り組みを実現します。簡単な操作で家庭内や外部サービスとコミュニケーションを取ることができます。

BOCCO 公式サイト
https://www.bocco.me/

BOCCO emo APIsについて
https://biz.ux-xu.com/

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