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【2020年最新テクノロジー動向】まだ遅くない!すぐに取り掛かるべき「狙い目」の分野と今後をロボティクスのユカイ工学が考える

今年も2020年1月アメリカでCES(世界最大級の電子機器見本市)が開催されました。

この記事では、毎年このCESに出展をしているユカイ工学として、2020年のテクノロジーやサービスの最新動向を、ユカイ工学青木代表、現地で出展したスタッフへのインタビューを通じて、ご紹介・考察をしていきます。

2020年のCESにおける、注目の最新テクノロジーは?

2020年のCESで注目するべきジャンルは沢山ありますが、特に挙げるとすれば
1, MaaS、自動車
2, スマートホーム
ですね

1, MaaS・自動車関連は「大量生産、価格破壊、世の中への普及」

MaaS・自動車関連の技術となると、それだけですごく注目するべき技術となります。というのも「大量生産と価格破壊による世の中への普及」が起こりうるからです。

どういうことか、少し説明しますね。

例えば、昔は車のエンジン始動は物理的なカギで行うのが当たり前で、高額なスマートボタンは一部の高級車のみの技術でした。
ただ、大衆車に比べて生産台数が少ない高級車とはいえ、全世界で見ると需要は大きなもの。スマートボタンの部品が大量に必要となります。大量生産をすると、1つあたりの生産コスト、製品価格が低減。結果として、今では大衆車でもスマートボタンでのエンジン始動が当たり前になってきています。

図にすると、以下の通りです。

MaaS・自動車関連の中でも特に注目するべき技術

特に重要視するべきなのは現実化が見えてきた「自動運転の発展」と「車内のエンターテインメント」です。

自動運転

前提として、自動運転にはレベル0~レベル5まで合計6段階のレベル分けがあります。

レベル0
:運転者がすべての操作を行う。
レベル1
:ハンドル操作か、エンジン・ブレーキ操作のどちらかのみサポートする。
→車間距離の保持や、車線逸オーバー時の補正など。
レベル2
:ハンドル操作と、エンジン・ブレーキ操作の両方を同時にサポートする。
→渋滞時の、先行車への追従や、発進・停止など。
レベル3
:特定の場所で運転が全て自動化。緊急時はドライバーの操作が必要。
→緊急対応用に運転席に座っていれば、後は自由。
レベル4
:特定の場所で運転が完全自動化。緊急時も自動運転システムが対応。
→特定の場所であれば、完全に自由。
レベル5
:全ての場所で運転が完全自動化。
→運転からの解放。

現在実用化されているのはレベル2の自動運転までです。ただ、「やっちゃえ〜」でお馴染みの日産やBMWの一部車種にレベル3に近いレベル2が搭載(2020年2月現在)されはじめており、運転の解放に向けて着実に正常進化してきています。そしてレベル3からは、自動運転対応の場所では手を離してもよくなるので、運転からの解放が現実的に。そうなると、ようやく本格的な自動運転時代の到来となるのではないしょうか。

CESのなかは様々な自動運転技術の展示が毎年展開されていますが、その自動運転を支えている技術の正常進化として注目している1つがLiDAR(ライダー)

LiDARとは光センサー技術を利用して、
・全方位の空間認識
・内蔵カメラの映像認識をして周囲を検知
することなどができる、自動運転の発展にはとても重要な技術です。

他にも衝突回避システムのモービルアイなど、自動運転まわりの技術発展がすすむと"人間が運転から解放"されます。

すると、次は運転から解放された人間が「社内で快適に過ごすための技術」が必要になってきます。

社内のエンターテインメント

自動運転中にできた空き時間、この時間を有効活用するために多く提案されているのが「エンターテインメント」です。

例えば以下の写真はCESにおけるAudiのブース。

HUD(ヘッドアップディスプレイ)と呼ばれるこのディスプレイは、現在実装されているものはまだメーターをみたり、カーナビをみたりするものに留まっています。一方、このAudiのブースのものは詳細なナビ・映画など様々なものを映すことができ、状況に応じてディスプレイのサイズ自体も変えられるようになっていました。

他にもフロントガラスが全面ディスプレイになり、そこで好きな映画を観られるなど「閉鎖空間かつ大きなディスプレイを利用したエンターテインメント」の可能性を感じました。

2020年のCESで特に注目するべきと感じたもう一つのジャンルがスマートホームです

スマートホームとは、IoTなどの技術を中心に、家を安全で快適なものにするための技術です。(「スマートハウス」は省エネ・節約を目指した家のテクノロジーを指します)

2,スマートホームは「高齢化によるニーズの増加」と「未開拓データの多さ」

社会の高齢化に伴い、家の中での高齢者の事故が増えてきています。さらに今後もしばらくは高齢者の数は増え続ける見込みが大きいもの。すると「見守り」が必要な人が増えていきます。

その分、家の機能で住人を見守る形での「スマートホーム」のニーズがどんどん高まってきました。

さらに睡眠時やトイレなど"人間が家にいる間のデータ"というものは、正直まだまだとれていません。家庭内の行動と健康に関してのデータはとる余地が大きいフロンティアであるといえます。

そこで例えば「積水ハウスのプラットフォームハウス」では、家の中にセンサーを導入、 "異常を検知した場合に緊急通報センターに通知、オペレーターが呼びかけにより安否確認を行い、救急への出動要請、そして救急隊の到着を確認し、玄関ドアの遠隔解錠・施錠までを一貫して行う世界初の仕組み"を作りました。 

引用:積水ハウス株式会社
https://www.sekisuihouse.co.jp/company/topics/datail/__icsFiles/afieldfile/2020/01/08/20200108.pdf

検知するセンサー自体は非接触式なので、データを取得するためにスマートウォッチなどのように身に着けておく必要などがありません。そのため「付け心地が悪い」「監視されている感じがする」などの負担を軽減することが可能です。

他にも、家の中のセンサーが活用されると、
・日々の尿の成分から健康かどうか判定
・どこの部屋のどこにいるときが一番集中できているか
・睡眠時どうなっているか
など、普段自覚しにくい様々なデータを測定することができるようになります。

高齢化が進むにつれて発展する可能性が高く、社会的価値も高い注目分野だと言えるでしょう。

センサーテクノロジーを支えるハードウェアとインターフェースの進化

ここ数年のセンサー技術動向や、今回のCESで感じたのが「センサーテクノロジーを支えるハードウェア面の進化」です。例えばセンサーとしての処理能力アップや、通信の高速化・大容量化などがあります。そして、部品の大量生産による価格の低減も見逃せません。冒頭で述べたように、スマートキーなどは大量生産により、高級車だけでなく大衆車でも使われるようになってきました。

また、もう一点CESで感じたのが、自動運転や介護のテクノロジーにおけるサービスの具体化です。同様にして、「特定の分野に特化したパッケージ」となるサービス(XaaSなど)が今後どんどん登場していくのではないかなと想像しています。

MaaSと言った概念が出てきていますが、例えばCaaS(care as a service)と言ったものも登場してくるのかもしれません。 そこでは個人消費者との接触が、より強くなってきます。すると、広い趣味趣向に応えられるようにサービスとしてのインターフェースには様々なものが登場してきそうです。

その結果、利用するユーザーとサービス側を繋ぐ方法はよりコミュニケーションをベースとしたものが出てくるのではないでしょうか。

ユカイの思う「人に寄り添うコミュニケーションインターフェース」とは?

CESの出展を通してユカイとして感じたことは「ロボットにおける"エモーショナルなコミュニケーション"というアプローチは間違っていなかった」ということです。

これまでロボットとのコミュニケーションいえば、AIスピーカーのように"「~~をして」と伝え、そのタスクをロボットがこなす"という程度の無機質なコミュニケーションでした。ロボットに求められていたのは何かしらの有益で具体的な「機能的価値」が多かったんです。

ただ、こういった製品の流行が徐々に下火になってきています。また、技術発展が広く進めば、機能的な価値はどのロボットでも出せるようになっていきます。

一方で、ユカイでは創業当初からエモーショナルなコミュニケーションや、人に寄り添うインターフェースを追求してきました。

BOCCO emo
https://www.bocco.me/emo/

その結果、ユカイの新作BOCCO emoにはワシントンポストやBBCなど、多数の海外有名メディアが興味を示し、特集などもされています。「人に寄り添う感情的な価値」が世界で大きくなってきているといえそうです。

▼ワシントンポストのニュース
https://www.washingtonpost.com/technology/2020/01/06/ces/

▼BBCのニュース
https://www.bbc.com/news/technology-50952021

自動車、介護領域におけるユカイの温かいデザインの展望とは?

BOCCO emoは"emo"と名付けた通り、やわらかいデザインで「感情的な価値」を重視しました。その他の製品であるQooboにいたっては、しゃべることすらできません。

Qoobo
https://qoobo.info/

ユカイ工学の製品は人の気持ちに寄り添い、ロボットによる癒しを提供することを重要テーマとしてきました。今後も様々な領域で温かなコミュニケーションと癒しを提供していきたいと考えています。

例えば自動車領域。自動運転化に伴い、進んでくるのが車内でのエンターテインメントの領域の加速です。そこで、ユカイはBOCCO emoを車に同乗させ、コミュニケーションや癒しの提供をしていきたいと考えています。例えば運転手の趣味に合わせたSA(サービスエリア)のおすすめ品や季節限定品など教えてくれたり、目的地までの残り時間を計算してちょっとニッチだけど同乗者の趣味に合わせた映画を配信してくれたりすることなどです。しかもこれまでのAIスピーカーのような無機質な「XXして」という命令ではありません。人間とBOCCO emoの相互のコミュニケーションがなりたった会話でやりとりを通じて、です。

また介護では、ロボティクスを使った新しい介護の形・コミュニケーションの形・コミュニティの形を作っていけるのではと考えています。

介護業界が直面しているのが深刻な人手不足です。
BOCCO emoを通してコールセンターから声掛けをしたり、BOCCO emo自身が話し相手になることで、介護対象者の認知症の予防と孤独感の解消を図ります。他にも簡単な操作で使えるBOCCO emoに期待できるのは、遠く離れた家族のコミュニケーションハブの役割です。
こうして、ロボット活用が進んでいくと、センサーやコミュニケーションを通して生活状況の情報・データを取得することが可能になっていきます。すると、コミュニティとして近隣・地域全体で見守る仕組みを構築できていくのではないでしょうか。

ただ、そのためには、高齢者の方に生活に入り込むことを受け入れてもらう必要があります。BOCCOシリーズを昔懐かしいブリキのおもちゃのような見た目にした理由の1つもそこにあるんです。
(まだまだ賢くないので、許してもらいやすいように"とぼけたデザイン"にしているところもあります笑)

今回は自動運転や介護領域を取り上げましたが、もっともっと様々なところや人に受け入れてもらい、たくさんの癒しを提供したい。そのためにも、ユカイ工学としてみんなに受け入れられるデザインや、使いやすいUI、温かみのあるコミュニケーションの追及をしていきたいと考えています。

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